大事な仕事が止まってしまう!

 何だ、朝からこの騒ぎは!? 

ある企業(B社)で、ある朝、経営者が仕入れ部門に、“新しい仕入れ基準”の話をしに出向かれた時のことです。
会議を開くほどの内容ではないので、外出前に、ちょっと立ち寄って、部長に仕入方針の部内徹底の確認をするつもりでした。

ところが部内は“騒然”としています。一体何が起きているのでしょうか…?

様子をうかがっていると、どうやら、
  『セクハラを放置しているのはおかしい』  
として、ある社員が部長に喰ってかかっているのです。

そこで社長は、部長に耳打ちで確認をした上で、外出することにしました。

 『あの件はどうなった?』 

ところが、夕方帰社した社長が、部長を呼んで『あの件はどうなった?』と聞くと、
   『それがあの後、話題がセクハラから“業務指示のあいまいさ”の話に移り、更に
    有給休暇や給与水準の問題になって、昼までドタバタとしていまして…』

という話を始めます。

たまりかねた社長が部長をさえぎり、
   『そうではなく、新しい仕入方針は部内に徹底できたのか?』
と聞くと、
   『それどころではなくて…』
と言ったきり、部長はうつむいてしまったのです。

労働条件トラブル~4つの特徴

小さなきっかけで連鎖反応を起こす!

労働条件に関するトラブルは、普段はなかなか表には出て来ません
しかし、小さなきっかけで誰かが問題を投げかけると、それが次々に新たな “不満”爆発の連鎖につながり、それが“重要な業務をストップ”させてしまう事態にまで発展しかねないのです。

つまり、労働条件等に関する問題には、
   ①普段は目に見えにくい
   ②発生すると連鎖的に大きくなる
   ③そのため重要業務に支障が出る

という3つの特徴があります。
そのため、明確な方針設定や十分な準備がないケースでは、しばしば小さな問題が想像以上に大きくなってしまう傾向が出やすくなってしまうのです。
問題が大きくなった際には、業務に支障が出るのみならず、思わぬ形で時間的あるいは費用的な負担が、会社に課せられることもあります。

では、企業はどんな方針設定や準備を行えばよいのでしょうか。

問題解決方針

問題のすべてを事前に防止するのは不可能!?

労使トラブルに限らず、問題の全てを“事前に防止”するような方法は“ない”と考えるべきでしょう。どんなに気を付けていても、思わぬ形で問題は発生します。
そのため、まず大事になるのは、“問題の防止”に努めるばかりではなく、
   ⇒個々の問題が“大きなトラブル”に発展しないようにする為の“制度”や“社内規程”の確立
なのです。
ただし、セクハラのように加害者側が『自分の言動の不適切性に気付かない』ような問題もあり得ます。そのため、
   ⇒制度や規定の内容あるいは経営方針に対する社内の共通認識の形成
も重要になると言えるでしょう。朝礼や回覧による認識促進のみならず、時には社内研修も必要になるかも知れません。

たとえば、B社のケースでも…

たとえば、B社のケースでも、
   ⇒“セクハラ”に関する社内の共通認識
があれば、議論が必要以上に感情的になることもなかったでしょうし、
   ⇒有給休暇や給与水準も社内の制度や規則のテーマだと認識する基盤
が出来ていれば、部長は“社員の意見収集”として、建設的に話を聞けたかも知れません。
誰も「全てが自分の思い通りになる」とは考えていなくても、「思いを伝える先や方法が明確ではない」時には、感情的爆発を抑えきれないものでしょう。

社内制度や規則等は組織運営の特効薬?

その意味では、社内の制度や規則と、それを運用する主体の明確化は、組織エネルギーを冷静で建設的な方向に向かわせる特効薬のようなものとも言えそうなのです。
逆に今、人事労務管理分野において、こうした
   ⇒“経営の余裕”を創り出す“基本方針や社内規程”が不足
するために、小さな事件をきっかけに
   ⇒大きなトラブルが発生し、“組織の生産性”が阻害される
ようなケースが、非常に多く見受けられるのです。

“方針”や規程の不足がトラブルを増大させる!

では、“建設的な制度や規則”は、どのように作れば良いのでしょうか?
確かに『人事制度や就業規則等の社内規程を完備すれば良い』とも言えますが、組織や経営の価値観を反映していない“制度や文書”には、なかなか現実的な力がないのも事実です。

そこで、当事務所では、
  「経営」「法律」「人の気持ち」の3つの要素のバランスを大切にしたご助言やご支援
に、特に注力しているのです。
詳しくは、以下のボタンより【労務コンサルティング】ページをご参照ください。